この度、第87回日本結核病学会総会の会長を務めさせていただくことになりました。
大正12年から続く伝統ある学会ですが、広島での開催は3度目、ちょうど20年ぶりとなります。この20年間、結核患者数の減少とともに、社会・医療環境の変化も大きく、結核予防法の感染症法への統合も行われました。また、2011年5月には「結核に関する特定感染症予防指針」が改定され、2015年までの目標値として人口10万対り患率を2009年の19.0から15以下にすること等が示されました。しかし、この目標達成のためには指針にも示された様々な対策を実行してゆくことが求められます。世界の中では依然として結核中蔓延国ではありますが、今後低蔓延にあわせた適切な結核対策実施のための新たな体制構築を官民協力して進めてゆかなければなりません。そこで、本総会のテーマは「結核征圧に向けてのコラボレーション」と致しました。
学会といたしましても平成22年度から認定医・指導医制度が始まりました。認定のための生涯教育セミナーも設定され、そのためもあってか第86回総会には例年を大きく上回る方々にご参加いただきました。第87回総会におきましても生涯教育セミナーを兼ねたシンポジウム、また、招請講演、教育講演等を企画しております。さらに、特別講演はヒロシマにゆかりが深い大江健三郎先生にお願いしております。多くの方々のご参加をお待ちしております。
会場の広島国際会議場は平和公園内にあります。5月10日、11日はちょうど若葉が美しい季節です。学会前後や議論の合間の散策とともに、この機会に原爆資料館等も訪れていただければ幸いです。